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ご質問:いろいろ提案しますが、すべて「ムリ!」と断られます

いただいたご質問

約一年不登校の小学6年男子です。

少し学校に行きたい気持ちが出てきているようですが、周りの子たちから色々聞かれるのがイヤで行けないようです。

「自分はコミュ障だし説明できないから」

と言うので、「なんて言うか答えを考えとこうよ」とか「お母さんが事前に子供たちに説明して、聞かれない状況を作るよ」など。
いろいろ提案してみたのですが、どれも「ムリ!」と断られました。最初の一歩はどのようにすればいいでしょうか?

ご回答:転んでも大丈夫と思えれば、歩き出せる

ご質問ありがとうございます。学校に行きたい気持ちが出ているものの、自分に自信が持てず、周囲の反応が気になっているのですね。
似たような相談はとても多いです。

1.不安をきちんと扱う

お子さんが自信を持てない時に大事なことは、軽い失敗をすることです。

いくら準備をしても不安は消えませんし、想定外のことが必ず起こります。
そのため、「大丈夫だよ」「大丈夫なように(根回し)しておくよ」といった声かけは、不安解消にはつながりません。
むしろ、不安を消し去るのではなくて、不安になることを正当化した方がいいでしょう。

例えば、
「そりゃドキドキするよね?そんなときどうする?」
「確かにいろいろ聞かれるかもしれないよね。それで嫌になったらどこに逃げる?」などと。

最初の頃は「考えられない。もう無理」となるでしょう。
その場合は、「また明日考えよう」と日を改めてください。
そして、本人から話が出たら「こういう時、どうする?」と聞いてみましょう。

ときどきは「お母さんが子どもの頃はこういう感じでうまく逃げたよ」とか「本にはこういう風にやればいいって書いてあるけど、役に立つかなぁ?」などと、ヒントのようなものを出してもいいかもしれません。ちゃんと本人に考えさせるのです。

2.本人にイメージをさせる

これを繰り返していると「こういうときは、こうしようかな?」「あぁ、保健室に逃げれば大丈夫かも」「先生の近くにいれば、安心だな」などと意見が出てきます。そうすれば、いよいよです。

失敗をするために行く。最初は短い時間で少しずつから始めましょう。保護者さんにとっては「たったこれだけ?」と思うかもしれませんが、それでいいです。

本人も物足りなくて「もっと学校にいたい」と思わせたら、上出来ですね。

以上、学校復帰の際のポイントを紹介しました。あくまでたとえ話ですので、実際のお子さんの状況に合わせてアレンジをしてください。

また、お子さんにイメージをさせようとすると「ダメだもう無理」のところで止まってしまい、具体的な状況をイメージできないお子さんもいます。その場合は、まだ学校復帰は早いので、もう少しゆっくり進めましょう。
そこで無理やり登校しても、結局は「怖い」「もう行かない」とダメージの方が大きくなることがほとんどです。

【参考記事】
【不登校の背景】不安障害の症状・原因・対策を解説(医師監修)


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吉田 克彦

回答者:吉田克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴20年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。現在は合同会社ぜんと代表
主な書籍:小学校スクールカウンセリング入門(2008年 金子書房)教師のためのブリーフセラピー(アルテ)など
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