このコーナーは、不登校なんでも質問箱に寄せられた、ご質問への回答です。
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ご質問:修学旅行に行けたのに学校には行けないという、どう接すればいい?

いただいたご質問

うちの子どもについてご相談したいことがあります。

子どもは長らく学校を休みがちだったのですが、先日、修学旅行には「行きたい」と言い、普段は朝起きられないのに、その日だけは自分で起きて準備をして参加しました。旅行中も友達と楽しく過ごしていたようで、無事に帰ってきました。

しかし、学校にはやはり行きたくないと言い、登校を渋っています。

修学旅行には参加できたのに、なぜ学校には行けないのか、理由が分からず困惑しています。

何かアドバイスをいただけると幸いです。

ご回答:修学旅行に行けた理由をさりげなく確認しつつ、深追いしない。

ご質問ありがとうございます。

お子さんの修学旅行に出かける元気な様子や帰ってきてからの思い出話、楽しそうに映っている写真などを観ると、「これなら学校に行けばいいのに」と思うのは当然でしょう。
でも、そんなに簡単には進まず困ってしまいますよね。

深追いはしない

そもそもですが、修学旅行に行ったから、学校に行くと期待しない方がいいです。
まずは、修学旅行に行けたこと、楽しそうに帰ってきたことを素直に喜びましょう。いったんそれで終わりです。

○○ができたのだから、次は××をするべき 

このように考えるのは、よくやることですがおすすめしません。特に、楽しいことが後に「じゃあ、辛くてもこれをやりなさい」というのは、うまくいきません。

なぜなら、頑張れば頑張るほどペナルティーを与えられるようなものだからです。

あなたの仕事で想像してみてください。あなたが疲れているし緊張や不安がいっぱいの中で、何とか一つの案件を達成できたとしましょう。その直後に上司が来て「あの案件ができたのなら次はこっちもできるよね」と新しい仕事を持ってきたら、どうでしょう?やる気になりますか?

多くの人は、やる気にならず、疲れがどっと出てしまうでしょう。
場合によっては「案件をこなすと新しい仕事を増やされるから、もう何もやらない方がいい」と思うかもしれません。つまり、どんどんやる気を失わせてしまいます。

もしかすると、上司から「いやぁ、お疲れさまでした。よく頑張ってくれたね。大変だったでしょ。ゆっくり休んでね」と言われた方が「いや、まだ大丈夫です何かやれる事ありますか?」と言いたくなるかもしれません。

このように、何かをやった場合には「では、あれも我慢してやるべき」と考えるのはうまくいかないのです。

理由を確認して参考にできないか考える

深追いしない方が良いですが、その一方で、なぜいけたのかの理由を確認することも大事です。

私は、「不登校になる理由はわからない場合が多い」と考えており、理由を問い詰めるのは良くないと考えています。一方で修学旅行に行きたくなった理由についてはある程度、はっきりさせてもよいでしょう。

なぜ修学旅行に行けたのでしょうか?
私のカウンセリングの中で修学旅行に参加できた理由として聞かれた代表的なものは以下の通りです。

修学旅行に行けた理由 
  • 楽しそうだったから
  • 勉強がないから
  • 好きな友達と一緒にいられるから
  • おいしい料理が食べられるから
  • 青春と言えば、修学旅行だから
  • お金がもったいないから
  • 家族に「絶対に行った方がいい」と説得されたから

お子さんは、どの理由でしょうか。もちろん他の理由の場合もあるでしょう。
この中の理由で、もし学校への登校に向けての動機づけとして使えそうなことがあれば、利用できますね。

例えば「青春と言えば修学旅行だから修学旅行には行く」というお子さんも多くいます。その場合は、「じゃあもっと青春した方がいいね。応援するよ」というかたちで学校行事などへの参加をうなガウスこともできるでしょう。

また、「おいしい料理が食べられるから修学旅行に行く」というお子さんも少なくありません。修学旅行から帰ってきてから一番の思い出を聞いても「食事!」と答える子もかなりいます。
そういう場合は食生活を見直してみましょう。学校に行く際に弁当持参の場合は菓子パンなどではなく、ちゃんと作ってあげることはお子さんの成長の面からもとても有効です。

「学校に行くか、行かないか」ではなく、「どうして今回は違うのだろう」という変化に興味を持つと、いろいろなアイディアが生まれてきますよ。

参考にしていただければ幸いです。


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吉田 克彦

回答者:吉田克彦(公認心理師・精神保健福祉士)

スクールカウンセリング歴20年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。現在は合同会社ぜんと代表
主な書籍:小学校スクールカウンセリング入門(2008年 金子書房)教師のためのブリーフセラピー(アルテ)など
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