このコーナーは、不登校なんでも質問箱に寄せられた、ご質問への回答です。
いただいたご質問の内容のみで回答をしているため、あいまいだったり明確な回答ができない場合もありますが、どなたかの参考になれば幸いです。
ご質問:息子が不登校になって1年、高校受験など将来が不安
息子(15歳)が中2の2学期から不登校になり、もう1年が経ちました。来年は高校受験ですが、このままでは受験どころか卒業も危うい状況です。
息子は「勉強したい」という気持ちはあるようですが、学校には足が向きません。家でも集中できず、教科書を開くとパニックになってしまいます。
フリースクールや通信制高校も視野に入れていますが、息子の気持ちと将来のことを考えると、簡単に決められずにいます。かといって、このまま何もしないわけにもいかず、日々悩んでいます。
ご回答:目的地を決めてから動くか、動きながら決めるか
ご相談ありがとうございます。
息子さんが中2の2学期から不登校になり、もう1年が経つこと、来年の高校受験が心配であること、よくわかります。
息子さんが「勉強したい」と思っているものの、学校に行けず、家でも集中できない状況は非常に辛いですね。
フリースクールや通信制高校を検討している中で、決断に迷っているお気持ちも理解できます。
通信制高校への進学について
通信制高校への進学は現実的だと思います。
ほぼ自動的に卒業できる小学校中学校と違い、高校は卒業どころか進級も難しくなります。通信制高校の場合はオンライン学習が中心で、登校する必要があっても少ない日数で済みます。
通信制高校でも部活動が充実している学校があります。同じ競技を部活動でやる場合もも全日制高校の部活動よりは全国大会へのハードルは低いです。また、大学や専門学校への指定校推薦枠が充実している通信制高校もあります。指定校推薦を目指すのであれば、むしろ全日制の高校よりも推薦されやすいかもしれません。
「勉強したい」とお子さん自身が言っているのであれば、このような話を伝えると興味を持つこともあります。
いま、家庭でできることは?
私が不登校のお子さんのカウンセリングをする際に気にしていることがあります。
それは、ゴールをはっきり決めないと動かないタイプのお子さんなのか。
とにかく動き出しながらゴールを探すタイプのお子さんなのか。
もちろん、はっきりと両極端に分かれるわけではありませんので、大体でかまいませんが、お子さんはどちらでしょうか。
ゴールを決めてから動くタイプの場合
例えば、ゲームなどをする際に説明書をしっかり読んでから遊び始めるタイプのお子さんが、こちらになります。
もし、ゴールをはっきり決めてから動くタイプであれば、まずは進路の話に集中しましょう。場合によっては、大学や大学院、就職の話からした方がいいお子さんもいます。
そこから逆算して、「じゃあ、今はそれに向けた学校を探さないとね」と具体的に落としていきましょう。
ここで重要なのは、途中でゴールを変更できるようにある程度の余裕を持っておくこと。
「あなたは、この前『○○にする』って言ったでしょ!だから、こんなに準備してきたのに、今さら変えないで」などと言ってしまったら、お子さんは動くのをやめてしまいます。
「いつでも予定変えていいからね。でも、何かあれば早めに教えてくれるとうれしいな」ぐらいの声掛けができるといいですね。
動き出しながらゴールを探すタイプの場合
とにかく何も考えずにワーッと始めたいお子さんです。とても多いです。
こういうお子さんの場合は、ゲーム感覚で勉強を入れていくことが大事です。
謎解きをする感覚で適度な難易度の問題を出したり、食事を一緒に作りながら体のことを考えたりすることもいいでしょう。
「勉強がしたい」というのであれば、オンライン教材を試してみるのもいいですね。
回答者:吉田克彦(公認心理師・精神保健福祉士)
スクールカウンセリング歴20年超、小学校・中学校・高校(全日制・定時制・通信制)でのスクールカウンセラーとしての活動経験あり。現在は合同会社ぜんと代表
主な書籍:小学校スクールカウンセリング入門(2008年 金子書房)教師のためのブリーフセラピー(アルテ)など
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